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「ララ、これ!新しい時計!」
「・・・時計?」
パパの手にあった小箱の中には最新のスマートウォッチが入っていた。
「これは・・・?」
「ララももうすぐウィザプロに入学するだろ?」
「魔法の学園だから媒体が必要なんだ」
媒体・・・入学手続きの必要なもののリストに書いてあった。
パパが用意してくれるからってまだ用意していなかったもの。
魔法の杖みたいなものだと前にママから聞いていた。
「スマートウォッチで魔法出せるの?」
その質問にパパがちょっと得意気な顔。
「電気タイプの魔法が得意な魔法道具技師の友達にね、ちょっと改造してもらったんだ」
「・・・改造?」
いうとパパは小箱からスマートウォッチを取り出してスイッチを入れた。
スイスイ操作して一つのアプリを指さす。
「このアプリはララの魔力に反応して、ララの魔法がシャボン玉みたいに出てくる」
「私の・・・魔法・・・」
「ちょっと使ってみてごらん?」
差し出されたスマートウォッチを受け取り、
言われた通りアプリを起動する。
私の指が触れた部分が光る。
シャランっと鈴の音のような音が鳴り、指を離すとその指に画面から出た光がついてくる。
やがて淡い光を放つ大きなシャボン玉にになった。
「・・・きれい」
シャボン玉は触ると割れて、触れた部分がちょっとピリッとした。
「・・・!」
「ララの魔法はママ譲りだから癒しの力があると思う」
「疲れた人たちにはとても優しい魔法だよ」
「ララは今、怪我しているわけではないからちょっとピリッとしたかもね」
私の魔法・・・
小さい頃から魔法はママが教えてくれた。
といっても本当に初歩的なので、いっぱい使いこなせるわけじゃないんだけど。
パパとは得意な魔法の属性?・・・が違うからだって。
パパはお医者さん、パパの得意な魔法は炎の属性で、
属性で言えば今の職業は適正ではないんだって。
パパの家は代々魔法騎士の家、炎の魔法を操り、国や国の偉い方を守るお仕事。
パパは私がこれから入る学園、Wizard Programでママと出会って。
価値観が変わったんだって。
元々パパのお兄さんであるおじさんと違ってぐいぐい行くタイプではないし、
人の話を聞くのが大好きなパパ。
他の地方から来たママに出会って話を聞いてるうちに、
医療系の道に進みたいなって思うようになったんだって。
そういう風に、自分の適性のある職業だけじゃなくて自分の行きたい道に進むための魔法を
教えてくれる場所・・・Wizard Program
私はパパがお医者さんでママが薬を扱うお仕事をしている事もあって、自分も医療系の道へ進むのだと思っていたし、そういう学校へ進学すると思っていた。
でもパパはちゃんと自分の将来を見つめてみて、と。
やりたい事がもしかしたら違う事かもしれないから・・・と。
パパとママが卒業した学園への入学を勧めてきた。
私が・・・やりたいこと・・・
いろいろ調べてみようかな。
後日聞いたら一番の友達のシェルムちゃんも学園の入学を決めたと聞いて、
私もそこで頑張ってみることにしたんだ。
「入学の準備はこれでばっちり?」
「大丈夫」
ローブや制服はこの前ママと買いに行ったし、教科書や筆記用具も新調した。
リストにあるものは何度も確認したから大丈夫。
「楽しみ?」
「ちょっと緊張してるかな」
パパは私の両肩をポンッとする。
「ララなら大丈夫、あの学園ならきっと大切な人たちが出来るよ」
「たくさんの人に出会ってたくさんいろんな事経験して」
「たまにここに帰ってきて学園であった事を教えて」
「メールばっかりじゃなくて・・・電話もするんだよ」
「うん!パパありがとう」
受け取った時計を腕にはめて説明書を読んで、他の部分も設定した。
Wizard Program、どんな学園なんだろう?
私はちゃんと馴染めるかな・・・友達いっぱいできるかな?
寮生活ちゃんとできるかな・・・先輩たちはどんな人たちなんだろう?
パパとママに学園の話はいっぱい聞いた。
それでも入学式の前の日は緊張であまり眠れなかったんだ。
******ララ:入学前
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